薄尾花すすきおばな)” の例文
かくて源松はまた、竜之助のあとを二三間ばかり離れて、薄尾花すすきおばなの中を歩みにかかる程合いのところで、またしても
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
萱にはいくつかの種類があるが、まず東京でいう薄尾花すすきおばなのことで、郊外のわたしの家の狭い庭でも、お月見つきみすくらいなら、えなくとも自然に生える。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あの「……薄尾花すすきおばなも冬枯れて……」と、呂昇の透き徹るような、高い声を張り上げて語った処が、何時までも耳に残っていて、それがお宮を懐かしいと思うこころそそって
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
竜之助はあきれ果てたようなセリフで、またそろそろと薄尾花すすきおばなの中を歩きにかかると、源松が、しゃあしゃあとしてあとを慕って来ること前の通りです。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その提灯を携えて小仏山から下りて、この松林に入って、多分この松林を抜けたらば、また薄尾花すすきおばなの野原を、高尾の大見晴らしへ出て山上にもうでるか、或いは山下の村へ行くものでしょう。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
野分のわきの風がさっと吹き渡ると、薄尾花すすきおばなが揺れます。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)