蓴菜じゆんさい)” の例文
蓴菜じゆんさい、青隱元、瓜、茄子、すべて野菜の類に嫌ひなものはないが、この節さかりに出るものはその姿まで涼しくて好ましい。
短夜の頃 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そこの蓴菜じゆんさいの生える池の渚に端錢をうかべて、その沈み具合によつて今年の作柄や運勢が占はれると云ふことが、その地方では一般に信じられてゐた。
哀しき父 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
葡萄色ぶだういろあゐがかつて、づる/\とつるつて、はす肖如そつくりで、古沼ふるぬまけもしさうなおほき蓴菜じゆんさいかたちである。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
然しおまへが一日家に居ないと家中の者は皆陰気な蓴菜じゆんさいのそばからふいと温かな麝香猫でも居なくなつたかのやうに何時も妙に滅入つて了ふのが眼に見える。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
青い蓴菜じゆんさいのもやうのついた
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
そこの蓴菜じゆんさいの生える池のみぎは端銭はせんをうかべて、その沈み具合によつて今年の作柄や運勢が占はれると云ふことが、その地方では一般に信じられてゐた。
哀しき父 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
手にぎりてかたみに憎み蓴菜じゆんさいの銀の水泥みどろを見つめつるかな
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
恋しけどおゆき思はず蓴菜じゆんさいの銀の水泥みどろに掬ひ居つ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)