落付おちつけ)” の例文
晴さんと五六日早咲はやさき逗留とうりうして居たりしが不※心に思ふやう此處にて金銀をつかすてんよりは江戸へ行て身を落付おちつけのち心の儘に樂まんと夫より室を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
静かに心を落付おちつけながら、私は今一度目をひらいて、事実の真相を眺め返した。その時もはや、あの不可解な猫の姿は、私の視覚から消えてしまった。
猫町:散文詩風な小説 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
乳呑児ちのみごを抱いたまま健三の前へ出た彼女は、寒いほおを赤くして、暖かい空気のなかしり落付おちつけた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれたがひにこそつぱい勘次かんじそば幾分いくぶんづゝでもこゝろ落付おちつけねばならなく餘儀よぎなくされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
通り懸りしやとふに半四郎は漸々に氣を落付おちつけ是は/\何方樣かは存ぜね共危き命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
落付おちつけんと思ひ近處きんじよ近傍きんばうへは古郷なる筑後ちくご久留米くるめへ赴くといひなしてぞ立出ける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)