茶菓さか)” の例文
主人からそれぞれに紹介されて、例のごとくに茶菓さかが出る。来会者もこれで揃ったという時に、青蛙堂主人は一礼して今日こんにち挨拶あいさつに取りかかった。
ふたりがりっぱなものでおおわれた丸テーブルをはさんで、安楽イスに腰をおろしますと、待ちかまえていたように、べつのボーイが茶菓さかを運んできました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
式がすむと客間で茶菓さかが出された、そのとき弥之助が施主の席に直って、参会してくれた礼を述べたうえ、あらためて聞いてもらいたいことがあると云いだした。
蜆谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
点燈てんとう茶菓さか雑談。左千夫、その釜に一首を題せよといふ。余問ふ、湯のたぎる音如何いかん。左千夫いふ、釜大きけれど音かすかなり、波の遠音にも似たらんかと。すなわ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
けて風寒く、空には雲のただずまい、月の明暗する窓によりて、沈黙する禿木氏と、燈火ともしびの影によく語る孤蝶子との中にたって、茶菓さかを取まかなっていた女史の胸は
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
河瀬かわせという少年の給仕がいて、茶菓さかをはこんだりするために、たびたび塾長室に出はいりしていたので、かれに中の様子をきいてみようかとも思ったが、それも何だか変だという気がして
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
道場の方からは、茶菓さか、弁当がでる。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茶菓さかを命じ、対坐するまで饒舌しゃべり続けた
百足ちがい (新字新仮名) / 山本周五郎(著)