苦役くえき)” の例文
かれらはその工事の苦役くえきに堪えかねて、同盟脱走してこの山中に逃げ籠ったが、歳久しゅうして死なず、遂にかかる怪物となったのであって
働きは並々ならぬ汗を伴ったとしても、それは苦役くえきとのみは申されません。「労働は苦痛なり」という前提は、手仕事の場合にはあながち当てはまりません。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
身代みのしろ金を払えばよし、払わぬ時にはあるいは殺し、または生かして土工となし、苦役くえきかせるという事じゃ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わしはあの牛を盗んだから、三箇月も苦役くえきをして来たのでせう。して見ればあの牛はわしのものです。
貝殻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一年の間赤い筒袖つゝっぽを着て苦役くえきをする事はもとより承知の上だが、何も二人で枕を並べて寝てえた訳じゃアなし、交際酒つきええざけを一盃飲んで居ただけで、何も証拠の無え事を間男よばわりをやアがッて
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひられし苦役くえきはわが身のうちに返り来る。
苦役くえきを果した後のような気持であった。
泥濘 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
氷雪ひょうせつ苦役くえきも九死に一生を
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)