色素しきそ)” の例文
うだ。あの人は頭の毛の色素しきそがなくなるまで勤続してこの頃漸く三級になった。それでも異数の昇進として羨望せんぼうの的になっているぜ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
南部なんぶの紫紺染は、むかしは大へん名高いものだったそうですが、明治めいじになってからは、西洋せいようからやすいアニリン色素しきそがどんどんはいって来ましたので、一向いっこうはやらなくなってしまいました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
見ると驚いたことに、博雄は顔から色素しきそが抜けてしまったように青白くなって、寄生きせい植物にゆうれい草と名付けるのがあるが、それとそっくりであった。腕が細く、頭が大きくて目立つ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
うも不思議です。高熱の加減でしょうか、髪と髭がその通り針鼠のようになりました上に、頬髭だけは悉皆すっかり色素しきそを失ってしまって真白ですよ』
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)