良人たく)” の例文
「道理でこの頃、良人たく容子ようすが変だと思いました。夜もたびたび遅く帰るし、私には、不機嫌ですし……」と、さめざめと泣いた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年齢とし良人たくと同じくらい、当時は三十五六であったかと思います、顔は丸顔で、いつも頭は丸刈りにしていられましたが」
墓地の殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
良人たくも、姉の様子が変だ、何か心配事があるとみえていつものように元気がないと言っていましたが、私達夫婦は別に、それ以上気に掛けませんでした。
土から手が (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
それに良人たくなども、ノズドゥリョフは嘘つきだけれど、慥かに何か曰くがありそうだなんて言っておりますのよ。
うわさはしじゅう良人たくから伺っておりますが……わたくしは栄三郎の妻のおつやと申すふつつか者でございます。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
良人たくが見ていました。鞄は壁に掛けておいたんですが、多分良人がそれを、工場に行くときに抜き取って持って行ったんでしょう。そんなことは今日が初めてではないんです
(そういう事なら、ぜひ共、主人もお加えくださいませ。とかく良人たくは引っ込み思案じあんで、今日迄にも何遍なんべん、仕官の口をはずして居りますことやら——)
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
良人たくが、姉の身の上にそんな変事が起るはずはないから別人に決っていると申しますので、其の儘気に留めないようにしておりましたけれど、私の疑念は日増しに進んで
土から手が (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
私どもへ度々おでにはなりましたが、どこのお生まれだか、よく存じませんでしたからお尋ねする手掛かりもなく、あの日その方と良人たくとが、一緒にいて難に遭いましたものか
墓地の殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
……良人たくは、落魄おちぶれてこそいますけれど、決して、他人ひと様の物を盗むなんて、そんな大それた人間じゃないとお巡査まわりさんにも私から言いましたけれど
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先生には、どうしてもお腹の子をたすけて頂かねばならぬので、何もかも事情を御話し致します。私が、お腹の子の無事を祈ってやまないのは、実は良人たくに対する復讐のためで御座います
印象 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
李傕りかく様と良人たくとは、刎頸ふんけいの友ですから、私も、あの夫人とは親しくしておりますが」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「確かに良人たくが作らせた物でございます」
墓地の殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「仕方がございません……良人たくにも、そんな目にう原因があったのですから」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「気を悪くしないで下さい。良人たくでも、貴女の将来を思っているんですから」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なにしろ良人たくは、ささ一ついただきませんので」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)