船路ふなじ)” の例文
安らかに海を渡れ! 長い船路ふなじのために、おまえは持てるすべてのものを支払った。貧しくよるべなく、おまえはおまえのカナーンの地をむだろう。
船路ふなじは短かいのだろう、いつまでもつづけばよいものを、とかれは思った。かすかにゆられながら、かれは自分が雑踏と声のもつれから、すべり去ってゆくのを感じた。
八丈島はっちょう三宅島みやけまではわずか四五日の船路ふなじですが、物騒でなかなか油断が出来ない
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
これからおかを行ったものであろうか。または船路ふなじを行ったものであろうか。主人あるじは船乗りであってみれば、定めて遠国のことを知っているだろう。どうぞ教えてもらいたいと、子供らの母が頼んだ。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
五月雨や船路ふなじに近き遊女町 几董
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
それは潟を横切り、サン・マルコをすぎ、大運河をさかのぼってゆく、なじみの深い船路ふなじだった。
颱風たいふう一過あすの船路ふなじの月よけん
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)