自家撞着じかどうちゃく)” の例文
すでに議論によりて道理を排するは自家撞着じかどうちゃくにして、到底、論理思想を排し得るものにあらず。これ、懐疑学者の一大謬見びゅうけんなり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
また前に書いたことと自家撞着じかどうちゃくするように見えることを平気で書いたりしている場合がずいぶん多いことであろうと思われる。
随筆難 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ただ科学の進歩を信ずる理知主義者が、現在の科学的知識によって理解しえざるのゆえをもって奇蹟的事実を否定するのは、自家撞着じかどうちゃくである。
軍勢の多寡たかとか、わが羽柴軍がとか、この秀吉がとかいう、すべての自家撞着じかどうちゃくから脱却して、純無雑、宇宙の心となって、天意の答を聴いたのである。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここに至って畢竟ひっきょうマットン博士の所説は自家撞着じかどうちゃくに終るものなることを示す。この結論は実にいいことばであります。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
盾と矛とを併せ売る者の語の如く、明らかに自家撞着じかどうちゃくでなければならぬ。
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
因果律というのは、我々の意識現象の変化を本として、これより起った思惟の習慣であることは、この因果律に由りて宇宙全体を説明しようとすると、すぐに自家撞着じかどうちゃくに陥るのを以て見ても分る。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
したがって褒貶ほうへんの私意をぐうしては自家撞着じかどうちゃくの窮地におちいります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「成程。不老長寿法にも自家撞着じかどうちゃくがございますな」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
近き将来、各国から委員が集って充分じゅうぶん商議の上厳重に処罰されるのはわかり切ったことである。又この事実は、ビジテリアンたちの主張が、畢竟ひっきょう自家撞着じかどうちゃくに終ることを示す。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
自家撞着じかどうちゃくじゃありませんか?」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)