臨月りんげつ)” の例文
女房にようばうあるとし姙娠にんしんして臨月りんげつちかくなつたら、どうしたものか數日すうじつうち腹部ふくぶ膨脹ばうちやうして一うちにもそれがずん/\とえる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
小石姫は当時丁度臨月りんげつでございましたで、秋の夜露と消えました身の胎内たいないから男の子が丸々と生れ出ました。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
勿論、臨月りんげつであつたのでもあらうが、すでに土の下にうづめられた死骸が赤児を生んで、その赤児が幾日も無事に生きてゐたのは、一種の不思議として人々をおどろかしたのである。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
それから小供のちゃんちゃんを二枚、主人のめりやす股引ももひきの中へ押し込むと、股のあたりが丸くふくれて青大将あおだいしょうかえるを飲んだような——あるいは青大将の臨月りんげつと云う方がよく形容し得るかも知れん。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)