股間こかん)” の例文
が、どんなすきがあったのだろうか、学士は両手を大尉の股間こかんにグッと落とすと、無我夢中になって大尉の急所をつかんだのだった。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一つの面白い、しかも極めて簡単な実験は、頭をさかさにして股間こかんから見馴れた平凡な景色をのぞいて見る事である。
てっきりおばけに違いないと思ったので、持っていた棍棒をとり直していきなりがんと喰らわすと、そのせつな、どうしたことか俺の股間こかんがしびれるように痛んだ。
えぞおばけ列伝 (新字新仮名) / 作者不詳(著)
無造作に股間こかんを濡らすと、とぼんとねるように湯槽に飛びこんだ。狭い浴槽よくそうの縁を越えて白っぽい湯水が溢れた。遅うなりました、と友田は改まったように挨拶した。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
小児両脚を張り、体を前方に屈して股間こかんより後方を望むときは、該児の次子出生する前兆とす。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
片足を揚げた短いスカートの下から女の股間こかんのぞくために、足台をだんだん高くさせたり、また、男と女とがカルタの勝負を試み、負ける度びに着ているものを一枚ずつぬいで行き
裸体談義 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と亭主がおさえつけるように云う、刹那、正吉の足がたっと亭主の股間こかんを蹴上げた。
お美津簪 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
私は、あんまり長い小便にあいそをつかしながら、うんと力んで自分の股間こかんを覗いてみた。白いプクプクした小山の向うに、空と船がさかさに写っていた。私は首筋が痛くなるほど身をかがめた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
幾日かすぎて、又、御隠居のあか流しに、風呂のお供をした。何気なく御隠居が入りかける所を、かねて、ねらっていた瑞白は、春秋六十年を経たる大殿の股間こかんの一物を、ふわりと後ろから掴んで
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)