聞惚ききほ)” の例文
つやッぽい節廻ふしまわしの身にみ入るようなのに聞惚ききほれて、為永ためなが中本ちゅうほんに出て来そうなあだ中年増ちゅうどしまを想像しては能くうわさをしていたが、或る時尋ねると
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
間調子まぢょうしに合わせて、その段の欄干を、軽く手を打ちて、機織の真似し、次第に聞惚ききほれ、うっとりとなり、おくれはらはらとうなだれつつ仮睡いねむる。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白雪 (じっと聞いて、聞惚ききほれて、火焔かえんたもとたよたよとなる。やがて石段の下を呼んで)姥、姥、あの声は?……
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)