聞分ききわけ)” の例文
いや聞分ききわけないというものだと、親子顔を赤めて角芽立つのめだそばで、母がおろおろするという騒ぎ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
怜悧りこうな生れで聞分ききわけがあるから、三ツずつあいかわらず鶏卵たまごを吸わせられるつゆも、今に療治の時残らず血になって出ることと推量して、べそをいても、兄者が泣くなといわしったと
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いいさまづさせて見てくれろとて氷袋の口を開いて水をしぼり出す手振りの無器用さ、雪や少しはお解りか、兄様にいさんつむりを冷して下さるのですよとて、母の親心づけれども何の事とも聞分ききわけぬと覚しく
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)