聖母マドンナ)” の例文
ベルナアルさんは、丘のうしろの洞窟の中へ駆けこんで、聖母マドンナの像の下に跪いておしゃべりの誘惑から逃れるために汗だくになっていっしんに祈る。
葡萄蔓の束 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
手に白刃を拔き持ちてかの女房を逐ひしりぞけ、大音に呼びけるやう。物にや狂ふ、女子をなご聖母マドンナいかでか汝がたすけを求めん。
、殊に笑うべきは、天主教のアキレスとネレウス二尊者の頭顱されこうべ各五箇ずつ保存恭拝され、欧州諸寺に聖母マドンナ乳汁ちち
と云つて、ラフアエルの聖母マドンナの様なのは、てんでありやしないし、つた所が日本人とは云はれないから、其所そこで里見さんをわずらはす事になつたのさ。里見さんもう少時すこしですよ
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ああ美が! それに、おれの我慢できないことは、心の気高い、しかもすぐれた知能を持った人間が、ともすれば、聖母マドンナの理想をいだいて踏み出しながら、結局ソドムの理想に終わることなんだ。
さきの世の聖母マドンナの、まどかな肩を。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いかになり行くことならん。只だ聖母マドンナの御惠を祈らんより外すべなしといひぬ。忽ち歌頌の聲はわれ等の耳に入れり。
といって、ラファエルの聖母マドンナのようなのは、てんでありゃしないし、あったところが日本人とは言われないから、そこで里見さんを煩わすことになったのさ。里見さんもう少しですよ
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
只だ心の底には言ふべからざる寂しさを感じて、今は聖母マドンナさへ世の人と同じく我を見放し給ふかと疑ひおもへり。