義胆ぎたん)” の例文
「山東の及時雨きゅうじう宋公明そうこうめいをはじめ、義胆ぎたんの男どもが、雲の如く集まっていると聞くし、かたがた、近ごろ仲間を求めているとも言いますぜ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝らの義胆ぎたん忠憤ちゅうふんを、ことごとく無意味なものにしたのも、とがは、彼君かのきみにあるには非ず、みな家康の不明と手落ちにありといわねばならぬ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こよいは秀吉がみずから彼の恨み多き義胆ぎたん忠魂に、一わんそなえてなぐさめてやろうと思う。おことらもそれにいて相伴しょうばんいたすがいい
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしもし官兵衛の死が救われ、義胆ぎたんの同志十三名がこれによって望みを遂げ得られるとしたら、義妹ひとりの否か応などは問題ではないとも考える。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おん頼もしゅう存ずればこそ、それがしも義胆ぎたんをふるい、越中にて御同心のはらをかため申したわけでござる
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と本来の義胆ぎたんから、たちどころに、彼も腹をすえて、仲間入りの一だくを宋江まで申し出た。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各〻の義胆ぎたん、その御苦労に、われ等も、微力ながらお供して参ろうというのに、何で、武と医との職分の差があると仰せられるか。お断りなさるのが、玄渓、せんのでござるわい
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬騰ばとうは、彼の真意を聞き、また帝の密詔を拝するに及んで、男泣きに慟哭どうこくした。彼は、遠い境外の西蕃せいばんからも、西涼の猛将軍と恐れられていたが、涙もろく、そして義胆ぎたんてつのごとき武人だった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——義軍なんぞ小功を思わん。義胆ぎたんなんぞ風雲を要せん」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういう義胆ぎたんの士を殺したら武士道は失くなってしまう
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いう義胆ぎたんの者ばかりといっていい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あめつちは、義胆ぎたんの士に加護かごあり給え
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「大人、失礼ですが、これはお礼として、あなたに差上げましょう。茶は、故郷くにに待っている母の土産なので、わかつことはできませんが、剣は、あなたのような義胆ぎたんの豪傑に持っていただけば、むしろ剣そのものも本望でしょうから」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)