美丈夫びじょうふ)” の例文
允成ただしげは才子で美丈夫びじょうふであった。安永七年三月さくに十五歳で渋江氏に養われて、当時儲君ちょくんであった、二つの年上の出羽守信明のぶあきらに愛せられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
爺さんが其処そこを目付けどころにしたんだ。爺さんが毎年その都に行はれる荒馬あらうまらしの競技場へおかあさんの美丈夫びじょうふを出しくなつたんだ。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
その中から防空眼鏡の大きなガラス玉がギラギラ光り、鼻下には美しい八字髭がピンとはね上っている。北村刑事から聞いていた通りの堂々たる美丈夫びじょうふである。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
若き鬼武蔵——白皙はくせき美丈夫びじょうふ森長可もりながよしの気もちなどがそれである。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄機はいでて李と相見た。今年はもう十八歳になっている。その容貌の美しさは、温の初て逢った時の比ではない。李もまた白皙はくせき美丈夫びじょうふである。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)