うす)” の例文
体が頭の頂から足の尖までうすものに包まれてゐて、それが千変万化の襞を形づくつてゐる。
クサンチス (新字旧仮名) / アルベール・サマン(著)
その上にあんなうすものをつけたゞけで外出してゐるのか、彼女等は独りになると何といふ不思議な不行儀に成り変ることか……などゝいふことが、全篇を通じて驚嘆の調子をもつて
風媒結婚 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
夢より輕きうすものをかづきて舞へる歌妓うたひめ
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
穉かった昔のうすものに身を包もうとして
上衣を脱いでうすものひとつになつてゐる百合子の真正面から月の光りと共に微風が吹きあたると、白いきものは煙のやうにひらひらとはためき、肉体の輪郭だけが鮮やかに浮びあがつて
まぼろし (新字旧仮名) / 牧野信一(著)