繰上くりあ)” の例文
大勢が手を揃えてその綱を繰上くりあげると、綱のはしにはすくなからず重量めかたを感じたので、不審ながらかくも中途まで引揚ひきあげると、松明たいまつの火はようやとどいた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
塚田巡査は先刻せんこくから待侘まちわびていたらしい、暗い中から慌しく進み寄って、の無事を祝した。権次は畚から降り立って、合図の綱を強くくと、上ではおうと答えて、畚をするすると繰上くりあげた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)