綾小路あやのこうじ)” の例文
綾小路あやのこうじらの公達きんだちを奉じて出かけたものもあるが、勅命によってお差し向けになったものではないとまで断わってある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
猪熊いのくまのばばは、口達者に答えながら、つえをひいて、歩きだした。綾小路あやのこうじを東へ、さるのような帷子姿かたびらすがたが、藁草履わらぞうりしりにほこりをあげて、日ざしにも恐れず、歩いてゆく。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
綾小路あやのこうじの官舎に陣していた少弐頼尚しょうによりひさ壬生みぶ匡遠まさとおの宿所に陣するこう師直もろなお、上杉伊豆、仁木兵部、そのほかの部将も、総力をあげて、敵の宮方を、山上へ追いしりぞけた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちかごろ堂上の滋野井しげのい殿や綾小路あやのこうじ殿が人数を召し連れ、東国御下向ごげこうのために京都を脱走せられたとのもっぱらな風評であるが、右は勅命をもってお差し向けになったものではない
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
京坂地方では例の外国使臣らの上京参内を許すという未曾有みぞうの珍事で騒いでいる間に、西から進んで来た百二十余人の同勢は、堂上の滋野井しげのい綾小路あやのこうじ二卿の家来という資格で、美濃の中津川
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)