継穂つぎほ)” の例文
旧字:繼穗
二人は肩を並べるように、中坂なかざか同朋町どうぼうちょうの方へ降りたのですが、妙に話の継穂つぎほを失って、しばらくは黙りこくっていたのでした。
とか池上は、話の継穂つぎほに困ったらしく、娘のわたくしには何の興味もない事柄を不揃いに喋ります。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
 (話に継穂つぎほがなく、二人は黙って烟草を吸っている。しものかたよりおつや、二十四五歳、熱海あたりの芸妓げいことおぼしき風俗にてづ。おつやはすこぶる威勢のいい女、少し酔っている。)
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
話の継穂つぎほを探そうと夢中になりながら
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
フラリとやって来た八五郎は、えりの汗を拭いて、お先煙草を五六服、お茶をガブ呑みの、継穂つぎほもないお世辞を言うのでした。
お静はそれを迎えて、薄い座布団を出したり、七輪の下をあおいだり、いそいそととりなしておりますが、話の継穂つぎほを失って、二人の客は暫らくは黙って潮時を待っております。
継穂つぎほもなくヌッと出たのは、南部坂下屋敷の裏門を預かる老爺おやじ、今まで手内職をしていたらしいほこりを払って、およそ胡散臭うさんくさそうにガラッ八の間伸びのした顔を眺めやるのでした。
しばらくたって、継穂つぎほもなく余吾之介は口を切りました。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)