絶家ぜっけ)” の例文
幕府は死んだものとみなして、絶家ぜっけの命を下してしまった。お千絵とても、今では、すでに世にい父とあきらめている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
分家をすれば平民となるのが辛さに、縁もゆかりもない絶家ぜっけぐ風習がはなはださかんである。
家の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あまつさえ飯島を手に掛け、金銀衣類を奪い取り、江戸を立退たちのき、越後の村上へ逃出しましたが、親元絶家ぜっけして寄るべなきまゝ、段々と奥州路を経囘へめぐりて下街道しもかいどうへ出て参り此の栗橋にてわずらい付き
もう一つ幸いなことは、ほとんど絶家ぜっけのようになっていて、荒れるに任せていた宏大な机の家屋敷が、これらの連中が移り住むことになってから、急に光りかがやきはじめたような有様であります。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
千絵も十九となりました、男でない私は絶家ぜっけの御下命をどうすることもできません。けれど私は、九ツの時お別れした父上様が、まだ御存命と信じられてなりません。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「現にツイ先頃も、また一軒のお古い屋敷が絶家ぜっけになってつぶれたという話だよ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)