かが)” の例文
あごの下も手ぬくめマッフのようになり、その上側はばらばらの毛であるが下の方はフェルトのようにかがり合っている。
夕暮が近くなった時、川幅が狭くなると共に、両岸にはあしまれになって、ふしくれ立った松の根ばかりが、水と泥とのまじる所を、荒涼とかがっているようになった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その空をかがつた木々の梢が、一面にぼんやり煙つてゐるのは、もう匂の高い若芽が、むらがつてゐるのに違ひなかつた。トウルゲネフは銃をげたなり、かすやうに木々の間を眺めた。
山鴫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)