紙砧かみぎぬた)” の例文
二重の上手につづける一間の家体は細工場さいくばにて、三方に古りたる蒲簾がますだれをおろせり。庭さきには秋草の花咲きたるかきに沿うて荒むしろを敷き、姉娘桂、二十歳。妹娘楓、十八歳。相対して紙砧かみぎぬた
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お花さんにまず幾らか握らせて、向島あたりへ姐さんをおびき出して、ちょうど浅草寺せんそうじ入相いりあいがぼうん、向う河岸で紙砧かみぎぬたの音、裏田圃で秋のかわず、この合方あいかたよろしくあって幕という寸法だろう。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ぢゆう上手かみてにつゞける一間の家體は細工場さいくばにて、三方にりたる蒲簾がますだれをおろせり。庭さきには秋草の花咲きたる垣に沿うて荒むしろを敷き、姉娘かつら廿歳。妹娘かへで、十八歳。相對して紙砧かみぎぬたつてゐる。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)