糺弾きゅうだん)” の例文
「かかる、悪例をひらいては、日本四大山の戒壇かいだんにも、悪影響を及ぼそう。また、叡山えいざんそのものの恥辱である。こぞって、吾々は、座主の私心を糺弾きゅうだんしようじゃないか」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
エビルの慧眼けいがんが夫の顔色の変化を認めない訳がない。彼女は直ちに其の原因を突きとめた。一夜、徹底的に夫を糺弾きゅうだんした後、翌朝、男子組合のア・バイに向って出掛けた。
南島譚:02 夫婦 (新字新仮名) / 中島敦(著)
こんな理不尽こそ、山口にぼくの得手勝手だ、有害なわがままだと糺弾きゅうだんされてもしかたがない。
煙突 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
源氏も恋人がかわいそうで、不良な行為によって、ついに恐るべき糺弾きゅうだんを受ける運命がまわって来たと悲しみながらもその心持ちを隠して尚侍をいろいろに言って慰めた。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
冬吉は断り発音はついんはモシの二字をもって俊雄に向い白状なされと不意の糺弾きゅうだん俊雄はぎょッとしたれど横へそらせてかくなる上はぜひもなし白状致します私母はまさしく女とわざと手を突いて言うを
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
そんなお前さん方に、俺を人殺しと糺弾きゅうだんできる資格があるか。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「ユダヤ人はただわけもなく糺弾きゅうだんされる人間ではない」
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
そのショックで、私は動揺しきっていたのだと思う。——うなだれたまま、娘の唇から浴びせられる糺弾きゅうだんの言葉を待ち、それを聞いてやるだけが私の仕事だと考え、突然、そして私は気づいたのだ。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)