粗略そりゃく)” の例文
そう粗略そりゃくにもできないので、城下の一寺を当分の客舎にあて、ていよくもてなしてはいるものの、一日も早く、この地を退去あるように祈っているふうだった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
門番の足軽は権柄けんぺいを作ったり、また粗略そりゃくにも扱わないように見せたりして、一人がくるわの中へ入って行きました。その間、お君は門番の控所で待たせられていました。
彼はその必要品を粗略そりゃくにするほど、東洋豪傑風ごうけつふうの美点も悪癖あくへきも受けていない。今の流行語でいうと、彼は西国立志編の感化を受けただけにすこぶるハイカラ的である。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
だが、はっきりそうわかってみれば、思う女の生みの母御ははごなら、この源十郎にとっても義理ある母だ。こりゃ粗略そりゃくには扱われぬ。知らぬこととは言いじょう、いままでの非礼の段々ひらにおゆるしありたい
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
世の中がおもしろくねえんで、グレた真似をしていますが、三蔵だって、日置大炊へきおおいのせがれです。旧主のおひい様におたのみをうけて、粗略そりゃくにゃいたしません。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに以前の旧縁もあるので、藤吉郎も粗略そりゃくには扱わなかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。粗略そりゃくなきよう今夕より諸事準備いたしおきまする」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)