米国アメリカ)” の例文
旧字:米國
いま米国アメリカ晩香波バンクーバーに新しい生涯を開拓しようとして渡航した女史のもとに、彼女のがもたらされたならばどんな感慨にうたれるであろう。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
昨日きのふは大阪商船の山岡氏の社員採用法を書いたが、今日は米国アメリカ大富豪おほかねもちカアネエギイの事務員選択の方法を紹介する。
米国アメリカまで来て、此様こんな御馳走になれやうとは、実に意外ですな。』と髯をひねつていかめしく礼を云ふもあれば
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その折音楽家の履はかなり汚れてゐたが、彼はその晩直ぐに天国の階段をあがるのでも無かつたし、米国アメリカの土を踏むのにはそれで十分だと思つてゐたのだ。
そんなこんなのうちに、見舞われたものが、見舞わなければならない羽目になったのは、あわれ米国アメリカ青年が、恋わずらいのブラブラやまいになってしまったのだ。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
米国アメリカでは心の臓はオペラバツク同様女の持物になつてゐるので、背高のつぽの議員はそんな物は持つてゐなかつた。
華燭かしょくの典を挙げたと報じ、米国アメリカトラスト大王のせがれモルガン氏は、その恋花嫁のお雪夫人をつれて、昨日の午前九時五十二分新橋着の列車で横浜から上京したと書いているが
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
市俄古シカゴに住んでゐる、米国アメリカ首歌妓プリマ・ドンナシユウマン・ハインク女史は、無論声楽家としても聞えてゐるが、それよりも子供のたんと有る音楽家として名が通つてゐる。
米国アメリカの女詩人が、白百合しらゆりたとえた詩をつくってあげたこともあるし、そうした概念から、わたしはざくらのかたまりのように輝かしく、憂いのない人だとばかり信じていた。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
米国アメリカで評判を取らうとすると、何をいても米国生れの女を女房かないにするのを忘れてはならない。
「そんなことは、よそへいっていえよ。僕が泣かれたって、どうにもならない。お母さんたちのいう通り、うんと吹っかけて見るんだな。本当に惚れてなきゃ、いくら米国アメリカ人だって酔狂で大金は捨てやしまい。」
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)