簇立むらだ)” の例文
縈廻えいくわいして悠揚せまらず南に晴れやかに去る風情はまことに面白く、兩岸の巖壁沙汀のさまも好く、松や雜樹ざふき畫意ゑごゝろ簇立むらだつてゐるのもうれしい。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ゆさ/\とやわらかなえそうな若葉をかぶった白樫しらかし瑞枝みずえ、杉は灰緑かいりょく海藻かいそうめいた新芽しんめ簇立むらだて、赤松あかまつあか黒松くろまつは白っぽい小蝋燭ころうそくの様な心芽しんめをつい/\と枝の梢毎うらごとに立て
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
まことにその名むなしからで、流れの下にあたりて長々と川中へ突き出でたる巌のさま、彼の普賢菩薩ふげんぼさつの乗りもののおもかげに似たるが、その上には美わしき赤松ばらばらと簇立むらだち生いて
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)