簇出ぞくしゅつ)” の例文
一度作者がこんなことを書き出して以来、その後にめちゃめちゃな剣道、柔道の話が簇出ぞくしゅつした。そのようを作ったのは恐るべきことである。
中里介山の『大菩薩峠』 (新字新仮名) / 三田村鳶魚(著)
思うに、ここの味方内から離反者が簇出ぞくしゅつしたばかりでなく、せつせんいったいにわたる日和見ひよりみ的な武族もまた
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれにしても、舞台の上でほとんどその存在を認められないような、有名無実の名題俳優が簇出ぞくしゅつするということは、何だか馬鹿らしく感じられてならない。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
海外の学を研究する者簇出ぞくしゅつし、有名な医者、天文学者、博物学者等の出現となった。
美人画の五渡亭国貞ごとていくにさだ、風景画の一立斎広重いちりゅうさいひろしげ、武者絵の一勇斎国芳いちゆうさいくによしと名人上手簇出ぞくしゅついきおいに駆られて、天保年間の流行は、いやしくも絵心あるものは、猫も杓子も、いや国主大名から、質屋の亭主
去就きょしゅうに迷うのもむりはない。野望をあやまって身を亡ぼす者が簇出ぞくしゅつする理由もある。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)