とつく)” の例文
親方様の手前お吉様の所思おもはくをも能くとつくりと考へて見て下され、妾はもはや是から先何の顔さげて厚ヶ間敷お吉様の御眼にかゝることの成るものぞ、親方様は御胸の広うて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「来られては困りますけれど、きつと来ますよ。あんなのが毎晩々々来られてはたまりませんから、貴方本当に来ましたら、とつくり説諭して、もう来ないやうになすつて下さいよ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それに就いて是非お頼があるんですがね、折を見て私もとつくり言はうと思ふのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「私は始から貴方を棄てる気などは有りはしません。それだからとつくりとお話を為たいのです。死んで了へとお言ひでなくても、私はもうとうから自分ぢや生きてゐるとは思つてゐません」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)