筒井つつい)” の例文
梶原かじわら申しけるは、一歳ひととせ百日ひゃくにちひでりそうらひけるに、賀茂川かもがわ桂川かつらがわ水瀬みなせ切れて流れず、筒井つついの水も絶えて、国土こくどの悩みにて候ひけるに、——
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
筒井つつい牢人が、うんと逃げこんでいるんで、どうしても、もう一度いくさをやらなけれやあ、あの衆は、骨になりきれねえとみえる」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのころ、畿内を分領していた筒井つつい、松永、荒木、和田、別所など大名小名の手の者で、『やり中村』を知らぬ者は、おそらく一人もなかっただろう。
(新字新仮名) / 菊池寛(著)
一束の白い菜をかかえた夫は、の子のうえに白い菜を置いたが、筒井つついはそれがどうして手にはいったかをたずねるには、あまりに解り切ったことだった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
また堂衆の一人、筒井つつい浄妙明秀じょうみょうめいしゅうは黒皮縅の鎧に五枚兜の緒をしめ、二十四本の黒ほろの矢を背に白柄の大長刀を掴んで橋に一人進み、轟く大音声をあげた。
筒井つつい入道定次さだつぐの所領であったものを、家康が没取して、これを藤堂とうどう高虎に与え、その藤堂藩は、昨年、入部してから、上野城を改築し、年貢ねんぐの改租やら治水やら国境の充実やら
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かりに本丸ほんまるをかためている作事門さくじもんさくぎわへ、その使者と筒井つつい家臣かしんとがきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)