筆頭ひっとう)” の例文
ベルリンでは例のお洒落しゃれな皇太子を筆頭ひっとうに政府のお歴々、フランスでは陸軍大臣が、それぞれ彼女の愛を求めて、そして当分に得ている。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
掛札が筆頭ひっとうから五枚までの者は汗を拭くのにも、風呂場を使うが、平手幹太郎は六枚目なので、ひらの門人と同じように、井戸端へ出なければならなかった。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
当年、軍学兵法の講論こうろん大試合だいしあい参加さんかする諸家しょけは、まずご当家とうけ筆頭ひっとうに、小田原おだわら北条ほうじょう加賀かが前田まえだ出陣中しゅつじんちゅう豊臣家とよとみけ奥州おうしゅう伊達だて、そのほか三、四ヵ国のご予定よていとある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが、男はみんなろくでもない目にあい、女は海千山千うみせんやませんになってしもた。小ツやんや早苗さんじゃとて、やっぱり海千山千よ。ただその筆頭ひっとうが、わたしとマッちゃんかな。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
早い話が、この戸部近江之介を筆頭ひっとうに御書院番の一同である。もっとも、これには色いろ仔細わけのあることだが、いったい普段から総がかりで新役の神尾喬之助につらく当ってよろこんでいる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
若手の筆頭ひっとうとして数年続いたのである。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)