竹童ちくどう)” の例文
いながらにして百里の先をも見とおす果心居士かしんこじの遠知のじゅつ、となりの部屋へやに寝ている竹童ちくどうのはらを読むぐらいなことはなんでもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「五丁目の尺八の師匠竹童ちくどう、四番目は御家人伊保木金十郎様の倅で、まだ部屋住みの金太郎——名前は強そうだが、女に惚れて病気になる位だから、人間は大なまくら」
やがて、こぶみねのてッぺんにある、天狗てんぐ腰掛松こしかけまつの下にたった竹童ちくどうは、頓狂とんきょうな声をだしてキョロキョロあたりを見まわしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「五丁目の尺八の師匠竹童ちくどう、四番目は御家人伊保木いほき金十郎樣の伜で、まだ部屋住みの金太郎、——名前は強さうだが、女に惚れて病氣になるくらゐだから、人間は大なまくら」
ア——と竹童ちくどうは目をみはっていると、たちまち、宙天ちゅうてんからすさまじい疾風しっぷうを起してきた黒い大鷲おおわし、鶴を目がけてパッと飛びかかる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「伊保木金太郎はお武家で、身分が身分ですから、お艶さんも心引かれて居る様子です。竹童ちくどう師匠は大したこともありませんが、江島屋の養子の与茂吉も大敵で、私はうかうかしては居られません」
「伊保木金太郎はお武家で、身分が身分ですから、お艶さんも心引かれてゐる樣子です。竹童ちくどう師匠はたいしたこともありませんが、江島屋の養子の與茂吉も大敵で、私はうか/\してはゐられません」