竹叢たけむら)” の例文
穂先を斬り落された青竹の手先が、ガサッと、竹叢たけむらのうちに隠れたのが、実にはやくはあったが、明らかに他の人々の眼にも見えた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は己がこうしているのをやしきの人が知って、捕えに来たのではないかと思って、そっと窓を離れて傍の竹叢たけむらの中へ身をかくして注意していた。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
丘をへだてた竹叢たけむらのほとりから、老鶯ろうおうが聞こえて来た。
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
暗い竹叢たけむらに覆われた山家の柴垣しばがきに沿うている暗がりである。光秀の影は、十間ほど後に、釘付くぎづけになったように立ちすくんでいた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ザワザワと竹叢たけむらの揺れる音。……
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「——裏の竹叢たけむらへでも」とつぶやきながら、走って行った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)