立者たてもの)” の例文
フランス革命の立者たてものであるロベスピエールもダントンもエベールも、斬首台にのぼったときは、いずれも三十五、六であったと記憶する。
死刑の前 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
そのうちの二名は、たしかに、昨日の藤川河原の立者たてものの再現であることをお角は見誤りません。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こんな元気で、また自信のないことで、どうして織田信長ともあろう時代の立者たてものと、好んで事を構えたのか。いてそのひとから離れたのみか、敵にまわして戦う気など起したものか。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その当時の大阪は摂津大掾せっつだいじょうがまだ越路こしじの名で旭日あさひの登るような勢いであり、そのほかに弥津やつ太夫、大隅おおすみ太夫、呂太夫の錚々そうそうたるがあり、女義には東猿とうえん末虎すえとら長広ながひろ照玉てるぎょくと堂々と立者たてものそろっていた。
豊竹呂昇 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
日本もはや明治となって四十何年、維新の立者たてもの多くは墓になり、当年の書生青二才も、福々しい元老もしくは分別臭い中老になった。彼らは老いた。日本も成長した。子供でない、大分大人おとなになった。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)