突倒つきたお)” の例文
其が夥間なかまの一人だつたのが分つたから、声を掛けると、黒人くろんぼ突倒つきたおして、船は其のまゝ朱色しゅいろの海へ、ぶく/\と出たんだとさ……可哀相ねえ。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
危険あぶない」と車夫くるまやが叫んだ拍子にどんと橋詰はしづめ砂利道ざりみちの上に、私を突倒つきたおして行ってしまった。
死神 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
トムは一昨日吉岡家の門前で、のお杉ばばあに吠え付いた。そうしてその晩に殺された。自分は昨日我家の門前で、同じくお杉婆を突倒つきたおして気絶させた。そうしてその晩に父が行方不明になった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)