空池からいけ)” の例文
此頃のひでり亀甲形きつかふがた亀裂ひヾつた焼土やけつちを踏んで、空池からいけの、日がつぶす計りに反射はんしやする、白い大きな白河石しらかはいしの橋の上に腰をおろした。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
檜葉の茂み、楓の幹、空池からいけの中の小石、それらは皆闇に包まれていたが、それらにまつわってるあの当時の思い出がしつこく頭に浮んできた。
子を奪う (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
空池からいけの低地には池のほとり、滑らかな芝生から裾野へかけ、数百の馬が放牧されて画趣を添え、同じく一面の芝生であるリンクスのはるかの斜面には点々として豆のごと
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
矢岳と野岳との間の最低地空池からいけを控え、野岳と連接する妙見岳の裾野が、見事なスロープを作り最左方石割山との間に、寄生火山を持つ第一吹越ふきこし障壁しょうへきで、北を限った一大盆地がそれである。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)