穴賢あなかしこ)” の例文
「御用人様、——若殿お命を速やかに縮め給え、穴賢あなかしこ——と紅筆で願文がんもんを書くような人間は、御屋敷に心当りはありませんか」
あれなる黒めが、人前もわきまえず怪しからぬ振舞い致そうとしたのでな、それがおかしいのじゃ。尊公方もとくと御覧じ召されよ。自然の摂理と申すものは穴賢あなかしこいものじゃ。
穴賢あなかしこ、この感情は、一度ひとたび入獄の苦をめし人ならでは語るに足らず、語るも耳をおおわんのみ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
当寺当時の住職、および、呉家の当主夫妻にのみとどむ可し。穴賢あなかしこ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
恐るべしとも怖るべし、帰命頂礼きみようちようらい穴賢あなかしこ
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「御用人樣、——若殿お命を速かに縮め給へ、穴賢あなかしこ——と紅筆で願文ぐわんもんを書くやうな人間は、御屋敷に心當りはありませんか」
盗んだ金を身に着けるなら、成瀬九十郎こんな貧乏はせぬ、盗賊を芸事と思う思わぬは其方そちの勝手だが、構えて師弟の道を踏み違えまいぞ、穴賢あなかしこ
この折を取逃しては、親の敵を討つのぞみはまずあるまい。穴賢あなかしこ、人に語るな。
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)