祠堂しどう)” の例文
瘳二子及び門人王稌おうじょ拾骸しゅうがいの功またむなしからず、万暦に至って墓碑祠堂しどう成り、祭田さいでん及び嘯風亭しょうふうてい等備わり、松江しょうこう求忠書院きゅうちゅうしょいん成るに及べり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と、相府のある者は、彼のすがたをよく新しい祠堂しどうの道に見るといって、人々の愚かな臆測をうち消した。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
芝生しばふはしさがっている崖の上の広壮な邸園ていえん一端いったんにロマネスクの半円祠堂しどうがあって、一本一本の円柱は六月のを受けてあざやかに紫薔薇色ばらいろかげをくっきりつけ
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
島津家が、窮乏の極の時、祠堂しどう金を与えなかったから僧侶が意地の悪い事をしたのである。それを、肥料こえ汲みにまでなって、床下から探し出したのが山田一郎右衛門であった。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
その第二は、わが国の諸山には必ず神仏を祭り、祠堂しどうを建つることある一事なり。これまた他国に見ざるところなり。ゆえに、いかなる高山にても、信者の跋渉せざるはなし。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
当時私の父椿岳はこの祠堂しどうに奉納額をあげましたが、今はのこっていないようです。
寺内の奇人団 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)