磔刑柱はりつけばしら)” の例文
島吉に縛られたにしても、小三郎を磔刑柱はりつけばしらに上げるまでに運んだのは、何んと言つても平次のせゐだつたに違ひありません。
初花の磔刑柱はりつけばしらの下に走り寄り、槍を打ち合はする暇もなく白無垢の両の脇下より、すぶり/\と刺し貫けば鮮血さつと迸り流るゝ様、見る眼もくらめくばかり
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
金箔きんぱくを押した磔刑柱はりつけばしらを馬の前に立てて上洛したのは此時の事で、それがしの花押かきはん鶺鴒せきれいの眼のたまは一月に三たび処をえまする、此の書面の花押はそれがしの致したるには無之これなく
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その間に当の罪人は、土壇場へ曳かれて行って馬から卸される、卸されたところに磔刑柱はりつけばしらが寝ている。下働きと非人と人足の都合六人が、罪人を取って抑えて、これを柱へ縛りつけようというのです。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
掴むし、お北は泣いて拜むぢやありませんか、勝氣のお内儀は——女の命と言はれる髮なんかチヨン切る野郎は、磔刑柱はりつけばしら
続いて残る九人の生命いのちが相次ぎて磔刑柱はりつけばしらの上に消え行く光景ありさまを、眼も離さず見居りたるわれは、思はず総身水の如くなりて、身ぶるひ、胴ぶるひ得堪へむすべもあらず。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
島吉に縛られたにしても、小三郎を磔刑柱はりつけばしらに上げるまでに運んだのは、何といっても平次のせいだったに違いありません。
さて逃ぐる者は逃ぐるに任せつつ、死骸狼藉たる無人の刑場を見まはし、片隅に取り残されたる手桶柄杓ひしやくを取り上げ、初花の磔刑柱はりつけばしらの下に進み寄りて心静かに跪き礼拝しつ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「知るものか、——俺は宗門改めの役人ぢやないよ。お前も餘計な口をきいて、磔刑柱はりつけばしらを二三本おつ立てるやうな殺生せつしやうなことをしちやならねえ」
迷ひに迷つた揚句あげく、主人を殺して磔刑柱はりつけばしらを背負ふ氣になつたくらゐの一國者だから、俺のところへ來て、自分の身體まで投げ出して皆んな話してしまひ
此處で錢形平次に手を引かれては、決して助かる見込は無く、磔刑柱はりつけばしらが幻のやうに、眼の前にチラ附くのです。
サア、あの女を殺したのは、亭主なんかの意氣地無しぢやない、この私だよ。錢形の親分、縛つておくれ。磔刑柱はりつけばしらを背負はされたつて、私はうらみには思はない
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「お前はこれ程まで、養ひ親二人にうらまれて居たんだぜ。磔刑柱はりつけばしらを背負はされても、不足は言へめえ」
六尺棒で押し隔てられて、竹矢来の外につまみ出されると、改めて囚人小三郎を馬からおろし、役人がもういちど罪状を読み聴かせた上、目隠しをして磔刑柱はりつけばしらに掛けるのです。
「おい/\青山長者丸だつて、江戸八百八町のうちには違ひあるめえ、そんな大袈裟なことをしたら、第一公儀が默つて見ちや居ない筈だ。忽ち謀反人扱ひを受けて、磔刑柱はりつけばしらを背負はされるぜ」
「それとも、三人も四人も並べて磔刑柱はりつけばしら背負しよはせるか」
する人だけれど、磔刑柱はりつけばしらを背負ふほどの惡黨ぢやない
する人だけれど。磔刑柱はりつけばしらを背負うほどの悪党じゃない
磔刑柱はりつけばしらを仲よく二人で背負ふ心算か」
磔刑柱はりつけばしらを仲よく二人で背負う心算つもりか」
何べん磔刑柱はりつけばしら背負しょいかけたか解らない