硝子箱ガラスばこ)” の例文
十坪程の表庭の草木は、硝子箱ガラスばこの中の標本のように、くっきり茎目くきめ立って、一きわ明るい日暮れ前の光線に、形をり出されている。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
露店の硝子箱ガラスばこには、煎餅せんべいや、天麩羅がうまそうであった。私は硝子箱にもたれて、煎餅と天麩羅をじっとのぞいた。硝子箱のはだには霧がかかっていた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
展覧の方は今日のように硝子箱ガラスばこに製品を陳列するなどの準備などは無論なく、無雑作なやり方ではあったが、牙彫げちょうの製品はかなり出品があって賑やかであった。
きつねはどこからって来たか大きな硝子箱ガラスばこゆびさしていました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)