砂粒すなつぶ)” の例文
「お父さんが云わしたばい、あア、おばっさん! 戦争の時、鑵詰かんづめに石ぶち込んで、成金さなったものもあるとじゃもの、俺がとは砂粒すなつぶよか、こまかいことじゃ云うて……」
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
彼女は花びらを一つずつ用い草の葉や、草の実をたくみに点景てんけいした。ときにはおびのあいだにはさんでいる小さい巾着きんちゃくから、砂粒すなつぶほどの南京玉なんきんだまを出しそれを花びらのあいだにはいした。
花をうめる (新字新仮名) / 新美南吉(著)
私はまた足もとのすなを見ましたらその砂粒すなつぶの中にも黄いろや青や小さな火がちらちらまたたいているのでした。おそらくはそのツェラ高原の過冷却湖畔かれいきゃくこはんも天の銀河ぎんが一部いちぶと思われました。
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
自分は客と話しながら、入院の支度したくを急いでいる妻や伯母を意識していた。すると何か舌の先に、砂粒すなつぶに似たものを感じ出した。自分はこのごろ齲歯むしばにつめたセメントがとれたのではないかと思った。
子供の病気:一游亭に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)