眼下めした)” の例文
父は話を途切らそうか続けようかとためらった風だったが、きゅうに調子を変えて、中島の養子というのを眼下めした扱いにして話を続けた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
入婿という遠慮もあろうが、眼下めしたの者に対しても物柔かで、ついぞ主人風を吹かしたことも無い。あらい声で叱ったこともない。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼女は自分の前に年齢下とししたの男を見るだけであった。そうしてその年齢下の男はかねて眼下めしたの男であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分より眼下めしたになつてゐる人に対して謙遜するのは、造作もないばかりではなく、却て嬉しかつた。一歩進んで金銭上の利慾と、肉慾とを剋伏こくふくすることも、余り骨は折れなかつた。
直ぐ眼下めした白樺しらかば簇立ぞくりつする谷がある。小さな人家一つ二つ。煙が立って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ひとの内輪に首を突ッ込んで、なにかと眼下めした、ことに自分の気に入った眼下の世話を焼きたがる代りに、いたるところでまた道楽本位の本性をあらわして平気であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)