“剋伏”の読み方と例文
読み方割合
こくふく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その実は只一つで、懐疑の剋伏こくふくせられた瞬間には色慾も起らない。併しセルギウスは兎に角悪魔二人を相手にして戦ふ積りで、別々に対抗するやうにしてゐる。
自分が剋伏こくふくしてしまった世界に向って、静かに微笑ほほえんで別れを告げる詩でなくてはならない。そういう心持は、女には話して聞かせなかった。話したところで、とても分かるまいと思うのである。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
自分より眼下めしたになつてゐる人に対して謙遜するのは、造作もないばかりではなく、却て嬉しかつた。一歩進んで金銭上の利慾と、肉慾とを剋伏こくふくすることも、余り骨は折れなかつた。