眷恋けんれん)” の例文
高時は、堂上などに、眷恋けんれんはせぬ。京にも負けぬ、鎌倉の京をここに築いて見しょう。あらゆる工芸のすいをあつめ、万華まんげ鎌倉の楽園を
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに常に日影に眷恋けんれんしてゐるあの八ツ手などは光線のある方へとぐんぐんその枝やら幹やらを延して行つた。
樹木と空飛ぶ鳥 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
柾木愛造は、輝くばかりの彼女の舞台姿に、最初の程は、恐怖に近い圧迫を感じるばかりであったが、それが驚異となり、憧憬あこがれとなり、ついに限りなき眷恋けんれんと変じて行った。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
に離別の旧妻に対して多少の眷恋けんれんもよほすなからんやと、誠に然り、余が弁護士の職務をなげうつてよりすでに八星霜、居常きよじやう法律を学びしことにむかつ遺憾ゐかんの念なきに非ざりしなり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
眷恋けんれん相伴うて今に至った。