真近まぢか)” の例文
旧字:眞近
参木の常緑銀行では、その日の閉鎖時間が真近まぢかくなると不穏な予言が蔓延した。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
然し真近まぢかく進んで、書生の田崎が、例の漢語交りで、「坊ちゃん此の通りです。天網恢々てんもうかいかいにして漏らさず。」と差付ける狐を見ると、鳶口で打割られた頭蓋とうがいと、喰いしばった牙のあいだから
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
高き屋にのぼりて仰ぐ星の座のいや遥けくも真近まぢかなるかも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今は余儀よぎなく真近まぢかのひとりを血祭りにあげた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
今は幻滅の除夜ぢよや真近まぢかだ。
傾ける殿堂 (新字旧仮名) / 上里春生(著)