相伴あいともな)” の例文
と直ちに、相伴あいともなって、石井山の中腹まで上ってゆき、途中からすこし曲って、俗にかえるはなとよぶ所の一軒家まで導いた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしじつとが相伴あいともなわねば、とかく誤りをきたしやすいから、名はできうるだけ明らかにしておくにくはない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ものの利害はそんなところ相伴あいともな相償あいつぐなっているというものだ——と二人はおなかの中で思い合って歩いて居るのだ。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
たとひそれが形影けいえい相伴あいともなはぬもので、実際は寧ろ男爵自身の乱行の反映と見た方が正しかつたにせよ、やはり幾分は彼女の病弱のせゐにしていいやうに考へられる。
垂水 (新字旧仮名) / 神西清(著)
しかし今日の東京になっては下水を呼んで川となすことすら既に滑稽なほど大袈裟おおげさである。かくの如くその名とその実との相伴あいともなわざる事は独り下水の流れのみには留まらない。
しかれども意匠の狂と言語の狂と相伴あいともなふを要す。意匠狂して言語狂せざる者あり、狂人の時として真面目まじめなるが如し。意匠狂せずして言語狂する者あり、常人の時として狂せるまねするが如し。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ほどなく秀吉と官兵衛とは、相伴あいともなって、この席へあらわれた。ここへ臨むまでに、二人の間には、すでに基本の方針は一致していたこと勿論である。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相伴あいともなって、やかたの奥にはいり、ここで中国の一味同心のともがらと会った。黒田官兵衛はその紹介者である。そして異心なき旨をちかい、順々に、名乗りあった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
斎藤方の柱石といってもよい西美濃にしみのの三人衆——稲葉伊予守いなばいよのかみ安藤伊賀守あんどういがのかみ氏家常陸介うじいえひたちのすけの三名が、相伴あいともなって
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)