目途あて)” の例文
何処どこと云って便たよって目途あてもございませんが、の若江から春部の処へ送った文が残っていて、春部は家出をしたかどはあるが、春部が父を殺す道理はない
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その金が使い尽くされた後には今のところ、何をどうするという目途あては露ほどもなかった。葉子はふだんの葉子に似合わずそれが気になり出してしかたがなかった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ほかに出来る目途あてもないけれども、仲の町の井桁伊勢屋いげたいせやから来るお侍の、青髭あおひげの生えた色の白いせいの高いお客は、来て/\来抜くが、わちきはやーでなりまへんから
若気の至りとは云いながら、たかも家も捨てゝ、春部梅三郎は二十三歳で、其の時分の二十三は当今のお方のように智慧分別も進んでは居りませんから、落着く先の目途あてもなく
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
去年の正月五日の晩万年橋の欄干で首を縊ろうとするとこを助け、恩にかけるんじゃアねえが、いかえ重さん、お屋敷へ刀が納まれば宜いと思って、目途あての無い事でもねえというのは
小「必らず出るという目途あてはあるまい、たしかに認めた処はないのだろう」