目角めかど)” の例文
かような手続の前後あとさきにまで目角めかどを立てられる教育家の不心得の方がよほどしからん事かと存じます。
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
「もう通らなんだら、私立を受けさしてまで中学へやらいでもえいわやの。家のような貧乏たれにまちの学校へやって、また上から目角めかどに取られて等級でもあげられたら困らやの。」
電報 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
そして時々涙のにじみ出る目角めかどを、指頭ゆびさきぬぐっていたが、しまいにそこを立って暗い段梯子の方へ行った。お庄は婆さんに何か言われるたんびに、下宿の二階で見たことなどがじきに頭に浮んだ。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼等は目角めかどを立てておこるだらう
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
横になっていた浅井は、二筋三筋白髪のちかちかするびんのところを撫でながら言った。そうして冬になってから、いくらか肉がついて来たが、目角めかどなどにはまだうるみのとれない妻の顔を眺めた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)