益田ますだ)” の例文
その後身が、益田ますだ男爵の愛妾あいしょうおたきであり、妹の方が、山県有朋やまがたありとも公のお貞の方であるというのは、出世の著るしいものであろう。
明治大正美人追憶 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
石見いわみ益田ますだには二つ心を引かれるものがある。一つは最も有名な雪舟せっしゅうの庭、一つは名もない粗陶器。誰も後者について語ったものはなかろう、ここで味方になって弁護しよう。
雲石紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
晩菘、いみなは穆、字は元教、小字は藤助、後に専之丞と称した。本姓は益田ますだ氏、甲斐国大藤村の人。天保七年七月齢三十八の時、真下家の株を買って家督を相続し、西丸表御台所人にしのまるおもておだいどころにんとなる。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
苦しかるらん君よりもわれぞ益田ますだのいける甲斐かひなきという歌が思われます。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
先年御隠居(尾張慶勝おわりよしかつ)が征討総督として出馬したおりに、長州方でも御隠居のさばきに服し、京都包囲の巨魁きょかいたる益田ますだ国司こくし、福原三太夫さんだゆうの首級を差し出し、参謀宍戸左馬助ししどさまのすけ以下をはぎ城に
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
石見の古い町といえば津和野つわのに誰も指を屈するでしょう。亀井藩で今も昔の屋敷が見られます。近くの益田ますだ雪舟せっしゅうの庭を以て名があります。しかしそれらのことはさておくとしましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
十三 杵築きづきより石見いはみ益田ますだまで
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)