皎月こうげつ)” の例文
小杜こもりの蔭に潜んでのぞきいると、暫時して妍華超絶ただに別嬪どころでなく、真に神品たる処女、多人数諸方より来り集い、全く露形して皎月こうげつ下に身を洗う。
国歩艱難かんなんにして策いまらず、身を忘れいささ野芹やきんの誠を献ず。才うとく万事人望にたがい、徳薄く多年世情にそむく。皎月こうげつの門前にたれか石を折り、芳梅の籬外りがいなんえいを斬る。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
平次の手は雨戸にかかると、アッと言う間もなく一枚引開けましたが、外は、雪の上に照る十三夜の皎月こうげつ。狭い庭はたった一と眼に見渡されますが、物のかげもありません。